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犬の健康診断は毎年受けた方がいい?

当院の5年間の研究結果を学会で発表しました

室見動物病院|福岡市早良区

犬の健康診断は、1回の結果だけではわからないことがあります

「去年の健康診断では異常がなかったから、今年も大丈夫」

そう考える飼い主様もいらっしゃるかもしれません。

しかし、血液検査の数値が正常範囲内であっても、前年と比較すると少しずつ変化していることがあります。

こうした変化には、どのような意味があるのでしょうか。

室見動物病院では、日頃から実施している犬のペットドックのデータを用いて、加齢に伴う体内の変化について研究を行っています。

2026年10月18日、沖縄県で開催された九州地区獣医師大会・三学会において、当院の研究成果を発表しました。

発表演題は、

「健康診断を反復受診した犬における加齢性画像所見と臨床検査値の縦断的関連」

です。

今回は、その研究内容と、日頃の健康管理にどのように役立つ可能性があるのかをご紹介します。

5年間、64頭の犬の健康診断データを解析

今回の研究では、2021年から2025年までの5年間に、当院で健康診断を2回以上受けた犬64頭、延べ253回の検査データを解析しました。

血液検査や尿検査に加え、超音波検査などの画像検査で確認された変化に注目しました。

特に調べたのは、次の4つの所見です。

  • 胆泥:胆のう内に胆汁の成分が沈殿している状態

  • 肝結節:肝臓に確認される結節状の変化

  • 脾結節:脾臓に確認される結節状の変化

  • 腎嚢胞:腎臓に液体のたまった袋状の構造ができる変化

これらは、必ずしも重大な病気を意味するものではありませんが、経過観察や追加検査が必要になる場合があります。

年齢とともに、画像検査で見つかる変化が増える

研究では、胆泥、肝結節、脾結節、腎嚢胞のいずれも、年齢が高くなるほど確認されやすい傾向が認められました。

犬も人間と同じように、年齢を重ねることで体内にさまざまな変化が生じます。

そのため、特に中高齢の犬では、血液検査だけでなく、超音波検査などを組み合わせて体内の状態を確認することが重要と考えられます。

血液検査の「正常・異常」だけではなく、前年からの変化にも注目

今回の研究で特に注目したのは、同じ犬の血液検査値が時間とともにどのように変化したかという点です。

例えば、肝臓に新たな結節が確認された犬では、結節が見つかる前の期間に、GGT、ALP、総コレステロール(TCHO)という検査項目の年間上昇量が、結節の見つからなかった犬より大きいことが示されました。

また、脾臓に新たな結節が確認された犬では、赤血球の大きさやヘモグロビン量に関係するMCV、MCHという項目の変化に違いが認められました。

これらは、画像検査で新たな所見が確認される前から、血液検査値の変化に何らかの特徴が現れている可能性を示す結果です。

ただし、今回の研究は比較的小規模な観察研究であり、これらの数値の変化から肝結節や脾結節の発生を予測できると証明されたわけではありません。

今後、さらに症例数を増やして検討する必要があります。

大切なのは、毎年の結果を比較すること

今回の研究を通して、私たちが改めて重要だと考えたのは、健康診断を継続し、同じ犬の検査結果を比較することです。

例えば、ある血液検査項目が正常範囲内に収まっていたとしても、前年、前々年と比較して上昇し続けている場合があります。

もちろん、その変化が必ず病気を意味するわけではありません。

しかし、単に正常値か異常値かを確認するだけでなく、過去の結果と比較することで、その犬自身の変化に気づく手がかりになる可能性があります。

健康診断は、病気を発見するためだけのものではありません。

健康なときの状態を記録し、将来の変化を評価するためにも役立ちます。

室見動物病院のペットドックについて

当院では、犬や猫の年齢、健康状態などに応じたペットドックを実施しています。

血液検査、尿検査、画像検査などを組み合わせ、現在の健康状態を総合的に評価するとともに、過去の検査結果との比較も大切にしています。

今回の学会発表は、日々の診療で蓄積してきた健康診断データを、将来の獣医療に役立てるための取り組みの一つです。

今後もデータの蓄積と解析を継続し、犬や猫の健康状態の変化をより早い段階で把握できるよう研究を進めてまいります。

「今は元気だから大丈夫」ではなく、「元気なうちから健康状態を記録しておく」。

大切なご家族が健康に過ごすために、定期的な健康診断をご検討ください。
https://muromiah.org/physical_examination/


学会発表情報

演題:健康診断を反復受診した犬における加齢性画像所見と臨床検査値の縦断的関連

発表日:2026年10月18日

学会:九州地区三学会(沖縄)

発表者:草場祥雄・草場晴奈・草場治雄

所属:室見動物病院(福岡市早良区)

室見動物病院

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