泌尿器疾患(慢性腎臓病)
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慢性腎臓病
腎臓は体内の代謝物や有害物質を尿として排出し、体の恒常性を維持していますが、その構造や機能の低下が長期間認められることで慢性腎臓病と診断されます。
臨床症状は病態の進行によってさまざまですが、ねこちゃんの場合は特に初期症状として多飲多尿が起こり、進行するにつれて元気食欲の低下や嘔吐、毛並みの悪化などが認められます。わんちゃんの場合はねこちゃんに比べて初期症状が認められにくく、健康診断で血液検査をして初めて腎機能の低下が判明する場合も多いです。
慢性腎臓病の原因はいくつか挙げられますが(糸球体腎炎、腫瘍、腎結石、腎低形成、多嚢胞腎、腎アミロイドーシスなど)一般的に特定が難しく、またわんちゃん、ねこちゃんでもその原因が異なります。さらには、慢性腎臓病は不可逆的な疾患です。そのため、早期発見がとても大切な病気になってきます。
慢性腎臓病の検査
- 血液検査
- 血清クレアチニン値及び尿素窒素値を検査します。また、電解質やリン、さらにはその他の生化学検査、SDMAの測定など総合的に実施します。
- 尿検査
- 蛋白尿や尿比重の低下の有無を検査します。また、尿検査によって感染症と炎症を鑑別します。
- エコー検査
- 腎臓の構造的変化の有無を検査します。
- レントゲン検査
- エコー検査にて腎臓の構造変化の有無を確認します。
慢性腎臓病の治療
※IRISのステージ分類によって治療方針を決定します。
ステージ1~2 クレアチニン値:2.8mg/dl以下
ステージ3 クレアチニン値:2.9~5.0mg/dl
ステージ4 クレアチニン値:5.0mg/dl以上
- 療法食
- ステージ2以上は特に腎臓食への変更が必要です。しかし、食物アレルギーや膵炎等がある場合はそちらのフードを優先します。
- 尿毒素の吸着剤
- 医療用活性炭で尿毒症物質の吸着を行います。
- リン吸着剤
- 持続的な高リン血症が続く場合はリン吸着剤を使用します。
- 水和の維持
- ステージが進むにつれ脱水が認められ始めます。水和が維持できない場 合は定期的な皮下保液を実施します。
- 高血圧の治療
- ステージが進むにつれ高血圧も併発してきます。数回血圧を測定し、 高い場合は降圧治療を開始します。
- 貧血の治療
- ねこちゃんでは進行するにつれ貧血を起こすことが多いです。貧血が持 続的に認められる場合は、赤血球造血刺激因子製剤を注射します。
- その他の治療
- 嘔吐が続く場合は制吐剤を使用します。
慢性腎臓病の予防と対策
慢性腎臓病は不可逆的な病気で、進行していきます。よって、早期発見早期治療が大事になってきます。症状が認められなくても、定期的な健康診断を行うなど、わんちゃん、ねこちゃんの健康チェックをお願いします。