膵炎

膵炎は嘔吐や腹痛、下痢を症状とし、食欲もなくなる病気で、犬種・猫種に関係なく全年齢で発症します。高脂血症や内分泌疾患、肝胆道系疾患が基礎疾患となることもありますが、他の病気がなくても発症することはあり、原因は特定されていません。
犬は急に症状が出始める急性膵炎が多いですが、猫の場合は週に1回程度の嘔吐が継続的に発生する慢性膵炎も報告されています。2〜3日で改善する軽症例は少なく、1週間〜10日前後の治療期間が必要な中等症が多い印象です。また、炎症が全身に広がってしまう重度の膵炎では、亡くなってしまう事もある病気です。

膵炎の検査

◎血液検査・・・膵リパーゼとCRP(猫はSAA)で推測。その他、基礎疾患の有無を確認します。
◎腹部エコー検査・・・膵臓や周囲の組織、その他腹腔内の状態を確認します。
*基礎疾患を疑う場合は、その他追加検査が必要な場合があります。

膵炎エコー画像

膵臓エコー画像

膵炎の治療

◎消炎剤・・・連続5日間、血管内に投与します。
◎鎮痛剤・・・痛みの程度により、1日1回〜数回、皮下注射で投与します。
◎制吐剤・・・嘔吐の症状が落ち着くまで、1日1回、皮下注射で投与します。
◎点滴・・・脱水の改善、水和の維持、電解質バランス調整、循環動態の維持などを目的とし、重篤化するのを防ぐために血管内に持続的に投与します。症状が軽減し、経口で十分に水分が取れるようになるまで継続します。血管点滴終了後は、通院での皮下点滴に変更し、数日通院してもらうことが多いです。
◎フード・・・初日は絶食。翌日は液体の低脂肪食。3日目から低脂肪の缶フード。食欲が通常に戻ってきたら低脂肪ドライフードへ変更していきます。