尿路感染症

尿路感染症はわんちゃん、ねこちゃんに多い病気です。
わんちゃん、ねこちゃんは、オシッコをした後によく陰部を舐めます。そのため細菌が尿道、膀胱、尿管、腎臓に侵入し、感染することで発症します。体調の優れない時期や老犬など免疫力が低下している場合は特に発症しやすいです。
また、膀胱にできた石(膀胱結石)によって膀胱粘膜が傷つけられることでも発症します。
膀胱内にできた腫瘤によって起こる場合もあります。
尿路感染症は、腎臓と尿管に起こる上部尿路感染症と膀胱及び尿道に起こる下部尿路感染症に大きく分類されます。

上部尿路感染症(腎盂腎炎)

腎盂腎炎は腎盂と腎間質の感染性疾患です。多くが下部尿路からの続発性感染で起こります。細菌性心膜炎や歯根膜炎などの感染部位から菌血症を起こした結果として起こる場合もあります。急性的に症状が激しく現れ、早期発見早期治療が実施されれば治癒が見込めますが、慢性に経過することも多い疾患です。

下部尿路感染症(膀胱炎)

細菌感染が原因で主に発症します。急性または慢性経過をとります。犬は一生のうちで一度は経験する疾患と言われているほど、とても多い病気です。
原因としては、免疫力の低下や尿道結石、腫瘍など物理的な排尿障害に起因するもの、尿量の変化や排尿回数の変化、水分摂取量に関係するものなど、発症機序は多岐にわたります。
尿路感染症の症状は、発熱、食欲減退、頻尿、混濁尿、排尿痛、血尿、匂いの変化、嘔吐、下痢などがみられることが多いです。

尿路感染症の検査

◎尿検査・・・白血球、赤血球、上皮細胞、細菌など尿中にどれくらい出ているのかを検査装置及び顕微鏡にて検査します。また、タンパクや尿糖、ビリルビンなど通常尿中に出ない物質の有無も一緒に測定します。
◎エコー検査・・・膀胱や腎臓の状態を観察します。
◎血液検査・・・炎症の度合いや腎機能を測定します。
○尿培養検査・・・適切な抗生剤を選択する為行います。
○レントゲン検査・・・エコーでは見つけきれない小さな結石の有無などを確認します。

※泌尿器の診断においては尿検査が必須となります。
泌尿器の疾患が疑われる場合は、診察の朝(出来れば朝一)の尿を約2ml持ってきていただくと診察がスムーズです。来院までのお時間が長い場合は保冷をお願いします(細菌の増殖を防ぎます)

細菌尿

尿路感染症-細菌尿-

尿路感染症の治療

◎抗生剤・・・2〜4週間服用する事が多いです。
◎定期的な尿検査・・・再発を防ぐため定期的な尿検査を行います。
○点滴療法・・・敗血症や急性腎不全を起こしている場合や尿量を確保する目的で行います。
○療法食・・・要因除去の為、療法食を処方する場合があります。
△利尿薬・・・尿量を増加させ細菌の定着を抑制する為使用することがあります。

尿路感染症の予後と対策

尿路感染症は再発の多い疾患です。陰部を舐めることによって発症することが多いからです。ティッシュを使えないペットに代わって、飼主様が常に清潔に保ってあげて下さい。尿石症を併発している動物も再発率が高いです。定期的な尿検査と適切なフードやサプリメントで管理しましょう。
何よりも大事なことは、飲水量を増やすことと、尿を我慢させないことです。飼主様のご協力よろしくお願いいたします。